|
子宮筋腫(きんしゅ)は、子宮にしこりのできる病気である。漢方医学では、イボや腫瘤(しゅりゅう)などのように体にとって余計なものは、お血(おけつ)(血の滞り)の一症状と考えて治療する。これらを取り除くためには、血行をよくする活血薬(かつけつやく)が必要だが、単純に活血薬を使えないケースもある。たとえば子宮内腹の近くにできた筋腫の場合、出血は避けられないが、だからといって止血薬だけの対処では、筋腫が取り除けない。また長期間の出血により、貧血(血虚証(けつきょしょう))になるケースも多い。この場合には補血薬(ほけつやく)を用いるが、出血が続く限り、根本的には治療できない。
このように子宮筋腫では、お血、出血、血虚という三つの病態が存在するので、治療には活血・止血・補血という三つの方法が必要である。この三つの病態は交互に現れ、活血と止血は正反対の働きであるため、治療も一筋縄ではいかない。この難問を解決してくれるのが漢方薬の当帰(とうき)である。薬理研究によると、当帰には子宮の収縮と弛緩(しかん)という双方向の作用があることが判っている。また漢方医学的にも、活血・止血作用の他に補血作用もあるので、子宮筋腫のどの病態にも使うことができる。処方としては、当帰を主成分(約7割含有)とし、補血・止血両方の作用がある阿膠(あきょう)を配合した婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)がある。日本で子宮筋腫によく用いられる桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は活血薬であり、出血があるときは使えないので、このような処方と合わせて用いるとよい。袁世華(中国・長春中医学院教授)(1996.6.16読売新聞「漢方漫歩」掲載)
●お問い合わせ
→大阪中医薬研究会会員店
このページは、読売新聞「漢方漫歩」掲載(1996.6.16)を転載しています。
|
|